釘の画像

釘は、木材や板などを接合したり、壁に物を掛けたりするために使われる細い棒状のものです。鉄や銅、ステンレスなどの素材で作られ、錆びに強いものや装飾性のあるものがあります。
釘の歴史は古く、日本では飛鳥時代から和釘が社寺建築などに使われていました。和釘は、鍛造や鋳造で作られた四角形の角釘で、金著釘や金泥釘など装飾的なものもありました。明治時代になると、西洋建築に対応できる洋釘がヨーロッパから輸入されるようになりました。洋釘は、線材を機械で切断し成形したもので、丸釘やスクリュー釘など多様な形状があります。
釘の用途は、接合する材料や部位によって異なります。一般的には、板厚の2.5~3倍の長さの釘が適してます。また、釘間隔や縁距離も適切に設定する必要があります。釘接合は作業が簡易で初期剛性が高いという特性を持ちますが、保釘力は木材の種類や乾燥度などに影響されます。

釘の種類

丸釘

丸釘は、建築からDIYまで幅広い用途に使われる最も一般的な釘です。素材は鉄やメッキ鉄、ステンレス、銅などがありますが、最もよく使われるのは鉄丸釘です。鉄丸釘は胴体が円型で滑らかで、頭部が丸くて布目がついています。JIS規格で「N釘」と呼ばれ、長さは19ミリから150ミリまであります。「CN釘」と呼ばれる太め鉄丸釘はツーバイフォー工法で使用されます。鉄丸釘は、打ち込んだ後に水分や空気に触れることで、表面が酸化して錆が発生し、鉄の表面が膨張して凹凸ができることで、木材の繊維に食い込んで抜けにくくなります。

鉄丸釘の図
鉄丸釘(N釘)
呼び 長さL 胴部径d 頭部径D
N19 19 1.50 3.6
N22 22 1.50 3.6
N25 25 1.70 4.0
N32 32 1.90 4.5
N38 38 2.15 5.1
N45 45 2.45 5.8
N50 50 2.75 6.6
N65 65 3.05 7.3
N75 75 3.40 7.9
N90 90 3.75 8.8
N100 100 4.20 9.8
N115 115 4.20 9.8
N125 125 4.60 10.3
N150 150 5.20 11.5

単位mm

太め鉄丸釘の図
太め鉄丸釘(CN釘)
呼び 長さL 胴部径d 頭部径D
CN45 44.5 2.51 6.35
CN50 50.8 2.87 6.76
CN55 57.2 2.87 6.76
CN65 63.5 3.33 7.14
CN70 6.99 3.33 7.14
CN75 76.2 3.76 7.92
CN85 82.6 3.76 7.92
CN90 88.9 4.11 8.74
CN100 101.6 4.88 10.31

単位mm

スクリュー釘

スクリュー釘は、胴部の表面に螺旋状の溝や凹凸がある釘です。打ち込むたびに釘の軸が回転しながら入り込むため、木材への固定力が強くなります。また、振動や湿気などによる釘の浮きや抜けを防ぐ効果もあります。屋外でステンレス製の釘を使うときは、スクリュー釘がおすすめです。ステンレスは錆びに強い素材ですが、鉄丸釘のように錆びて木材と固定されることがないため抜けやすくなります。そこで、スクリュー釘を使うと保持力が高まり抜け落ちる心配がありません。

真鍮釘

真鍮釘は、銅と亜鉛の合金である真鍮を素材とした釘です。真鍮は色調が美しく、その特徴を生かして、装飾品や楽器、建築金具などに使用されます。真鍮釘は、見た目が美しく、高級感がありますが、硬い素材に打ち込むと曲がったり折れたりすることがあるので注意が必要です。

ケーシング釘

ケーシング釘は、表面が塗装処理された釘です。色は白・黄色・茶色など多種多様で、化粧合板などの素材の色に合わせて選ぶことができます。頭部は小さくて平らで打ち込む部分が少し凹んでおり、打ち込んだ後は目立ちにくいので内装や家具などの仕上げに向いています。長さは25ミリ程度で、素材は鉄やステンレスなどがあります。

コンクリート釘

コンクリート釘は、コンクリートの壁や床に打ち込むことができる釘です。コンクリートへの仮設物の設置や、軽量物をコンクリート面に取り付けるときに使用できます。保持力がそれほど高くないので、重量のある物を固定するのには適していません。重い物をコンクリート面に固定するときには、コンクリート用アンカーボルトを使う必要があります。

フロアー釘

フロアー釘とは、フローリング等の床材を固定するために使われる釘です。床材は歩行などの圧力によって動きやすいため、しっかりと固定する必要があります。そのためフロアー釘は胴部がねじ状に加工されており、抜けにくく保持力が高くなっています。また、頭部はポンチ穴としてカップ形状になっており、床材の表面に沈めて打ち込むことで目立たなくすることができます。

ボード釘

ボード釘は、石膏ボードやラスボード・ブリントボードなどの軽量な内装材を固定するための釘です。ボード釘には、さまざまな種類があります。一般的によく使われるのが平頭フラットタイプのボード釘です。このタイプのボード釘は、頭部が平らで胴部がスムースな形状をしています。頭部が広いため、石膏ボードから抜けにくくなります。また、胴部がスムースなので打ち込みやすく、木材にしっかりと食い込みます。

つぶし釘

つぶし釘

つぶし釘は、頭部が縦に平らに潰れた釘のことで、木目に合わせて打ち込んだ後に頭部が目立たなくなるという特徴があります。ハンマーで打ち込む際には丸釘と同じように使用しますが、頭部が平らなので注意が必要です。頭部を木材の表面よりも深く打ち込まないようにしましょう。既製品もありますが、金床の上で丸釘の頭をかなづちで叩いて平らに潰して自作することもできます。

トタン釘

トタン釘は、トタン板の取付に使用される釘です。頭部が大きく平らになっているのが特徴で、使用するトタンに合わせられるように色数も豊富にあります。 長さ25mmのものは平トタンに、32mmのものは波トタンを壁に打つときに使用します。屋根に使用する波トタンには雨を通さないよう傘釘を使用します。

傘釘

傘釘は、波板という屋根材を固定する釘です。釘の頭には傘のようなカバーがあります。このカバーは水漏れや錆びを防ぐだけでなく、波板に色彩を加える役割も果たします。傘釘を使うときは、雨漏りしないように波板の凸部に打ち込みます。また、傘釘にはポリ連結やステンレス連結などの種類があります。波板と同じ材質の傘釘を選ぶことが大切です。

二重頭釘

二重頭釘は、頭部が二つある釘のことです。巾木の仮止めプレートの固定などに使用されます。二重頭釘の特徴は、頭部の下にもう一つフランジ状の頭があることで頭部が木材に沈まないようになっています。こうすることで、仮止めや仮組みなどの作業が容易になり、作業後に木材から出た部分を挟んで引き抜きやすくしています。

装飾鋲

装飾鋲は、頭部に様々な模様や形を施した鋲のことで、主に家具や玩具などの飾り付けに用いられます。装飾鋲には、太鼓鋲、椅子鋲、格子鋲などの種類があり、それぞれ特徴や用途が異なります。 頭部に半丸やトキン、亀甲、菊などの模様が付いたものが多く、装飾鋲を使うことでネジ釘の頭部を隠して美しく仕上げることができます。

かくし釘

かくし釘は、頭の部分が折れるようにできている釘です。釘を打ち込んだ後、頭についている樹脂を横からかなづちで叩くと、釘の切れ目から折れます。 この切れ目は木材表面より少し深いところにあるので、釘の頭が見えずにすっきりと仕上がります。ただし、頭が無い分接合力は低いので、木工ボンドなどの接着剤を一緒に使う必要があります。

仮釘

仮釘は、木質材の接着剤による仮止めに使用する特殊な釘です。釘の頭に緑色の樹脂が付いており、接着剤が乾いた後に引き抜くことができます。特徴は、釘を抜いた後に釘あとが目立たないことです。これにより、仮止めした部分を美しく仕上げることができます。用途は、内装材や家具、額縁などの木材の接着などです。特に、クランプなどの圧着支持金具が使えない場所では、仮釘が便利です。

合釘

合釘は、頭部が無く両端が尖った釘です。幅の狭い板を簡単につなぎ合わせ、広い板を作ることができるので大きな家具を作るのに利用できます。合釘を打つときは、節のない部分にまっすぐに打ち込み、木工用ボンドで接着し、クランプで締め付けます。合釘が斜めに入ると板がずれるので注意が必要です。

波釘

波釘は、波打ったような形状の釘です。板と板を連結して1枚の板にする、額縁のコーナーを留めるなど用途は多岐にわたります。板の連結での波釘の使い方は、板の継ぎ目の木口中央に配置して、波釘の真ん中や側面を均等にハンマーで打ち込みます。ただし、無理に力を加えて打ち込むと木材が割れてしまう場合もあるため、注意が必要です。

又釘

又釘は、U字型の二又になった釘で、両方の先端が尖っています。鉄線や金網、ラス網などを固定するのに使用されます。又釘の特徴は、線やヒモなどを挟んで打ち込むことで、簡単に固定できることです。又釘は、鉄製のものが一般的ですが、錆びにくいステンレス製のものもあります。

かすがい

かすがいは、木造住宅の構造材や木材を接合するために使われる金属製の釘のようなものです。丸鋼、角鋼、平鋼などの両端を直角に曲げてコの字型にしたもので、尖った両端をツメと呼びます。ツメを木材に打ち込むことで、木材同士をしっかりと固定します。土台や軸組、小屋組などの部分に使用されますが、引き抜き力が生じる柱には使用できません。

絶縁ステップル

絶縁ステップルは、電気配線用の留め釘で、本体が鉄製で絶縁材料でコーティングされているものです。電線を壁面や天井に固定する際に使用します。テレビやインターネットのLANケーブル、照明やエアコンの配線などに使用できます。絶縁ステップルを使用することで、配線をきれいに整理し、ショートや火災の危険を防ぐことができます。

釘の頭部形状

平頭フラット

釘の頭部形状 平頭フラット

釘の頭が平らで凸凹がない形状のことです。最も一般的な釘の頭部形状で、大きな面積で対象物を留めることができます。

皿頭網目付き

釘の頭部形状 皿頭網目付き

釘の頭部が皿状になっており、その表面に網目状の凹凸があるものです。網目は金槌での打ち込み時に滑り止めとして効果があります。

丸頭

釘の頭部形状 丸頭

釘の頭部が半球状になっている形状のことで、木材や金属などの素材に打ち込むときには、頭部が素材の表面よりも高くなります。

ケーシング頭

釘の頭部形状 ケーシング頭

釘の頭部が平らで、打ち込んだときに板の表面と同じ高さになるように設計された形状です。板の表面から頭部の出っ張りをなくすことができるため、仕上げに適しています。

カップ頭

釘の頭部形状 カップ頭

釘の頭部が凹んでいるような形状で、その凹みに釘締めをあて打ち込むことで、釘の頭部を木材表面より沈めることができます。

DIYの材料

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